TAKANO シャトーヌーベルクロノメーター 実機レビュー 「文字盤・ケース編」

TAKANO

 こんにちは海豚です。

 今回は奇跡の復活を遂げた「TKANO シャトーヌーベルクロノメーター(黒文字盤)」を迎えることができたので、今のところ大変珍しい時計ということで、皆様に共有できたらなと思いブログを作成しました。

 実機画像やレビューの他に、TKANOとはどのようなものかも軽く説明していきたいと思います。ぜひ楽しんでいってください🐬。

 本ブログは2部作で、「文字盤・ケース編」、「ムーブメント編」を作成します。また、数ヶ月の着用レビューも作成しますのでお楽しみに🐬。

TAKANOの外箱。TAKANOのイメージカラーは「黒」であるようだ。

伝説の独立時計士が復活させた 新生 「TKANO」

 今年の3月に「クロノス」さん主催のFMラジオにて、あの伝説的な独立時計士「浅岡 肇」さん本人が、自信が経営する東京時計精密株式会社で「タカノ」を復活させると電撃的な発表があった。

 浅岡肇さんは、日本に3人しかいない「独立時計士アカデミー」の正規会員の一人です。中でもムーブメントやケース、文字盤等の時計のデザイン、ネジ一つから微細加工機で作り上げる「完全マニファクチュール」を実現する、会員の中でも数人しかいないレジェンド的な存在です。 著名な功績と言えば、デビュー作が日本人初となる、完全マニファクチュールの「トゥールビョーン」搭載のタイムピースを作り上げたことでしょう。驚くことに浅岡さんは、時計士学校で専門知識を学んだことはなく、独学で作り上げたという。出身大学も「東京藝術大学」とその天才性も納得のところです。

浅岡肇さん ※「TAKNO公式サイト引用」

 一方、「TKANO」、高野精密工業(名古屋市)は、1957年からわずか5年間のみ時計製造を行なってことから、「幻の時計」と言われ、マニアの中で非常に人気だ。日本の時計を「世界的高級時計を目指す」と強い目標を掲げていたが、多額の設備投資をした工場が伊勢湾台風によって壊滅してしまう不運に見舞われ、プリンターやカメラで有名なリコーに買収されました。

 今回この「TAKANO」を浅岡さんが復活させるのは、時計そのものの復刻というよりは「世界的高級時計を目指す」という情熱を引き継ぐ、というところがメインなのかも知れない。それは後に載せるTAKNO シャトーヌーベルクロノメーターのデザインを見れば一目瞭然。新生TKANOということもあり、高野の情熱を引き継いで生まれ変わった別の時計であると私は解釈しています。

TAKANO 実機レビュー『文字盤・ケース』

  

写真と実物はやっぱり別物だ。一眼見て時計としてのバランスの良さ、完成度の高さに驚く。

 今回ご縁があったのは「黒文字盤」、光沢のある黒色文字盤にシルバーのインデックスが映えるので視認性が良く、時計としてのバランスが良い。ホワイト文字盤は対照的に文字盤はザラザラした梨地のようだ。

 針は浅岡肇さんらしい「スカイスクレーパー(超高層ビル)」型の針、時針は文字盤ギリギリのクリアランスで、針先は内側のサークルにピタリと合っていて気持ちが良い。分針及び秒針は先端が文字盤側に曲げられており、この角度はボンベ型の文字盤のカーブの角度合わせているし、外側のレールウェイ・インデックスにピタリと合っている職人技光る精巧さだ。

写真では分かりにくいが、針もかなり立体的で綺麗に磨かれている。

 文字盤の12時位置に2本のバーインデックス、3、6、9時位置は1本のバーインデックスとなっている。それ以外の時間部分のインデックスはドット型だ。バーインデックスは全てのエッジが90度に削られ、ドットインデックスは完璧な円となっており、どちらも立体的かつ歪みなくポリッシュされていて慎重に仕立てられていることが分かる。

ボックス風防も飛び出すぎている事はなく、適度な立体感がある。ベゼルはかなり小さく、小径ながら文字盤の存在感がある。

 「ボックス型風防」に「ボックス型文字盤」の組み合わせは、元祖「シャトー」に倣ったもので、尾錠もシャトーに倣い、Tを翼のようにデザインした住年のロゴパーツを別パーツで作り、ろう付けしている。プレス一体で作ればコストも削減できるが当時のやり方を踏襲し、手間をかけている事はリスペクトを感じる。出来はもちろん素晴らしく、プレスには再現できない立体感がありつつ、溶接痕は全く見当たらない。

尾錠のロウ付は1950〜60年代には見られたが、今はロストテクノロジーと言われるほどに難易度が高く、コストの面から採用している時計はほとんどない。

 ケースは「37ミリ」と大変日本人に合うサイズ感となっている。一方でラグはそれなりに長いので小さすぎることは無い。ケース全体が「ザラツ研磨」によって歪みのないポリッシュに仕上げられているので高級感がある。非常にシャープなラグで、ラグの外側は綺麗な境界を持って、角度をつけて削っているので、正面から見るとラグが細く写り、非常にスタイリッシュである。一方横から見ると、ラグ一体のミドルケースは手首に沿うように下向きに曲線を持っているのでカクカクしすぎていないし、独特のくびれがある。斜めから見ると、ラグは3つの面を持っており非常に見応えがある。

三つの面を持つラグ、曲線のくびれを持つカーブが美しい。ケースを薄く見せる技術も素晴らしい。

 裏蓋もテーパードされているので、非常に薄く見える。自社キャリバーを積んだ高野の「シャトー」は当時、中三針で世界で最も薄い時計として誕生していた。新生TAKANOはこの素晴らしい功績を「ミヨタ」製ムーブメントという制限の中で、ケースに工夫をしディティールとして組み込んでいるのだろうと感じた。これが独特かつ立体的(ケースも文字盤も)でいて薄く見える時計が出来上がったのかと思うと、浅岡さんのセンスには脱帽だ。

着用感は抜群。薄く見せる技術云々はお話ししたが、そもそもが薄い時計なので、間違いなくスーツにも合うだろう。

終わりに

 今回は、納品後に軽くレビューということで、冒頭の通り内容をもっと詰め込んだ長編も作成予定です。大変奥が深いので1日じゃ説明できませんからね💦。

 しかし実機画像とレビューを早く作成し、皆様に共有することが使命だと思い作成しましたので楽しんでもらえると光栄です✨。

 それでは次の「ムーブメント編」をお楽しみに✨🐬

比較的太腕の海豚も、小さすぎるとは感じなかった。37ミリというサイズ感は絶妙だ。

TAKANO シャトーヌーベルクロノメーター 実機レビュー ムーブメント編

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