こんにちは海豚です🐬。
今回は知る人ぞ知る高級ダイバー「フィフティファゾムス」について
マニアの中での評価が高く、その知名度も増してきてはいるものの、誰もが憧れるダイバーにはまだなれていない。
世の中には数々の素晴らしいダイバーズウォッチがあるが、そのコレクション達と比較して「フィフティファゾムス」はNo.1ダイバーズであることを証明したい。
他のモデルと比較するので不快に思われる方もいるだろうが、優劣をつけるというよりは「ダイバーズウォッチの雲上として フィフティファゾムス がどれだけ相応しいか」を書き出しす事がメインで他モデルを貶したりはしない。
最後まで楽しんでいただけたら幸いです✨。
※ここでいうフィフティファゾムスは主に「チタン 3針」モデルを指します
フィフティファゾムスの実機レビューはこちら↓
本ブログには、ブランパン、ロレックス等ブランドの公式サイト及び公式インスタグラムの画像を多く引用させてもらっています。引用の際は画像下に明記します。
間違いなく一番比較されるのは 「ロレックス サブマリーナ」
高級ダイバーズの代表、最も有名かつ人気なのは間違いなくロレックス「サブマリーナ」。
フィフティファゾムス(以下 FF)がこの立ち位置に立つことは現段階ではまず不可能だし、目標は違う。
だが、FFはサブマリーナ所有者の次のステップとして相応しい。海豚はそう感じるのだ。
昨今の時計ブームで顕著にプレミアム価格が付き、そして値崩れしにくいのが「ロレックス」、中でもスポーツモデルに分類される「サブマリーナ」の人気は高い。
サブマリーナの現行モデルは『ケース径41ミリ、厚みは13ミリ、パワーリザーブ70h、防水300メートル』ダイバーズにしてはコンパクトでスーツスタイルにも合わなくもない万能時計だ。
人気ゆえにプレミアム価格であり、2024年8月現在、定価は約「148万円」、市場価格は色によって変わるが「210〜250万円」にもなる。これはフィフティファゾムス(45ミリ チタン 3針)の定価(約251万円)に迫る勢いだ。
前提として海豚は『憧れの時計=資産価値が高い、資産価値が高い時計=資産価値が低い時計より優れている』とは思っていない。ただ、時計の定価は重要視している、時計業界は時計を見る目はシビアである。最近の一流ブランドに仕上げを誤魔化すようなブランドはほとんどない、嘘をつけばバレてイメージダウンは免れない。ブランドごとのバリューはあるが、定価に比例して時計にかけた時間やコストが大きい事は間違いないであろう。今回は資産価値の比較ではない、ダイバーズウォッチとしての比較であることをご了承願いたい。
FFはなぜ、サブマリーナ所有者の次の目標になれるのか、それは同じダイバーズでありながら全く違う魅力があり、ダイバーズとしてより本格的且つラグジュアリーな特徴を持つゆえだ。
サブマリーナはシティユースの万能ダイバー フィフティファゾムスは・・・ 比較して検証
サブマリーナは万能である。ロレックスならではの堅牢性や精度の高さ、ダイバーズのスペックを持ちながらも薄さにも配慮があり、ケースもコンパクトだ。隙がないし、一つの完成形であると感じられる。実際多くのダイバーズウォッチの模範となっている優等生だ。
対してFF(フィフティファゾムス)を例えると『本格派ラグジュアリーダイバー』と言えるだろう。なぜ本格的でラグジュアリーなのか様々な要素からサブマリーナと比較してみよう。
1 ケースを比較してみよう。FFのケースはチタン製にも関わらず、非常に複雑な曲線を描いている。ケースの原型は、高温プレス加工だが、ラグとケースの境界部など、職人による精緻な仕上げがなければ実現できない。単に機械加工と言っても、チタン加工はステンレスと比較して、硬く、加工時に火災の危険性もあるので専用の設備、工具、複雑な冷却工程が必要だ。それにも関わらずケースサイドには職人が切削工具で「BLANCPAIN」のロゴが深く滑らかにエングレービングしている手間の入れようだ。ケース全体の手作業によるサテン仕上げも美しい。チタンケースのモデルは他社でも増えているが、ここまで複雑な曲線描くケースはなかなか無いし、ダイバーズ規格となると防水性を確保しなければならず、非常に精密な仕上げが求められる。
チタンといえば、黒っぽく鈍く光るイメージであるが、ブランパンが使用するグレード5チタンはシルバー調であるため高級感がある。スクリューバックもサンレイ仕上げになっており、レーザー加工によるロゴや識別番号が刻まれている。
サブマリーナのケースは、強度があり、腐食に強い「スーパーステンレス 904L」を使用し、ケースをプレス成形後に歪みもないポリッシュ仕上げも施されている。ブレスとのクリアランスも非常に小さく、ロレックスのケース仕上げのノウハウが詰め込まれている。実用的な質は最高レベルであるが、工業製品としての枠を出ていたものでは無い。これは良い悪いでは無く、質実剛健なロレックスの本質なのだ。
2 ダイバーズの命である『回転ベゼル』はどうだろうか。
どちらも120クリックの本格仕様で、インデックス位置で綺麗に止まる。どちらも優れた技術でしっかりした作りなのだが、大きな違いはベゼルの材質だろう。
FFのベゼルインサートの素材は『サファイヤクリスタル製』でボンベ型(ドーム状)、これも理にかなっていて、ダイヤモンドに次ぐ硬度から、非常に傷が入り難く視認性が確保される。非常に硬いということは加工も難しいし(サファイヤとチタンという加工の難しい素材同士を精密仕上げしてその厳密な公差をクリアする必要がある)ベゼルリングに装着するのにも高い技術が必要だ。サファイヤベゼルの輝きは唯一無二で、ここに惹かれて憧れるユーザーも多い。
ロレックスの自社開発の「セラクロム」という特殊セラミックは、実用性において最高品質であり、審美製にも優れているが、セラミックのインサートは幅広い価格帯のダイバーズウォッチに採用されている。サファイヤ回転ベゼルは今のところ他にはない。
FFのベゼルリングはチタン製で、ローレット加工による指へのひっかかりは良好だが、バリはなく、袖に無闇なダメージは与えない。回転ベゼルなので内側にもインデックスに対応した正確な歯がプレス加工で刻まれている。くどいがチタンでここまでやるのはすごいことだ。
3 文字盤
ロレックスの文字盤は、ダイバーズウォッチに最適な真っ黒なラッカー仕上げでありながら、針やインデックスはホワイトゴールド製でツール感と高級感がうまく両立している。ダイバーズとしての視認性を確保しながら高級感を確保する技は見事であるが、FFはもうひと工夫ある。
FFの文字盤は中央はサンレイ、外側は肉眼では確認できないほど、非常に細かく円周上にギョシェが刻まれている、この溝が乱反射して、虹色に光るのだ。仕上げを変えることにより、インデックスや針を見やすくする、超高級ブランドの「ブレゲ」のギョシェ文字盤のような技法だ。コストのかかる文字盤にして高級感を出しつつも、視認性は確保する技は高級ダイバーならではだろう(42ミリモデルはサンレイのみ)。
インデックスもロレックス同様にホワイトゴールド(WG)製のアプライドインデックスで、比較して体積も大きい。時分針は非常に大きいため、おそらく素材はゴールドではないが、視認性が非常に高い。デイトは4時、5時位置の間で、デイトディスクが文字盤と同色であるために視認性を阻害しにくい。
4 ムーブメント
ロレックスのムーブメントは2020年に開発された最新ムーブメント「cal.3230」はパワーリザーブ70時間に伸び、実用性が向上している。ロレックスの自社製ムーブメントはブルーパラクロムテンプによる精度の良さや、ある程度の耐磁性、ショックアブソーバによる衝撃強さから非常に使いやすく、優秀なものとなっている。
対して、フィフティファゾムスの「cal.1315」は、ブランパンが買収した高級ムーブメントで有名なフレデリックピゲ社の「cal.13R0」を改良したものだ。トリプルバレルによりパワーリザーブは120時間で精度も安定している。シリコン製ひげゼンマイのため、耐磁性もある。
性能は文句なしだが、驚くべきはその仕上げや豪華な仕様だろう。地板はスポーツウォッチらしい筋目仕上げだが、よく観察すると繊細な模様に驚かされる、歯車(角穴車、丸穴車)は、美しいソレイアージュ、やセルクアージュ仕上げ、文字盤の裏側など、見えないところにも繊細なペルラージュが施されている。特に地板やブリッジの面取りは圧巻で、雲上ブランドのエントリーモデルぐらいでは追従を許さないほどだ。どこを基準にそんなお大口を叩けるのかといえば、面取り部の幅が広く、肉眼でも丸みを帯びていることが分かる点だ。これが非常に手間がかかるし、やっているムーブメントはこの価格帯ではほとんど無い。
マニアックな情報だが、ブランパンはジュウ渓谷に生息する、「ゲンティアナ」という植物の根を、ムーブメントを磨くために採取している。この植物に研磨剤を塗ってムーブメントを磨くのはもちろん職人の手作業だ。人の手で磨かれることによって、r部を綺麗に仕上げているのだ。
自動巻きローターは18KホワイトゴールドにあえてプラチナNACコーティングでグレーにして、統一感を出している(42ミリモデルは、レッドゴールドローターに同NACコーティング。縁取りはRGを残しているので優美さがある)そのほか、テンワに4つ装着されるフリースプラングネジは18KRGだったりする。
と 審美性溢れるこの「cal.1315」をシースルーバックから眺めることができるのは、スクリューバックのサブマリーナと比較して大きなメリットだろう。プロ仕様ダイバーでシースルーバックのダイバーはあまりないし、仕上げは工業製品の域を超えている、まさに雲上ダイバーといえよう。
先ほど述べたようにロレックスのムーブメントは非常に優れた実用性はあるものの、それ自体に工業美はあっても、工芸品的な要素は無い。そもそもスクリューバックのため確認できないのだが、ここまでの違いはある。
4 歴史
サブマリーナとフィフティファゾムスの誕生は1953年とサブマリーナと同じ。厳密にどちらが先であったかと勝負する必要性はないが、ブランパンの場合、歴史的資料が多く残っている点は注目すべきだ。
FFの歴史は奥が深く、ここで深掘りするとキリがないのだが、FFデビュー当時からフランス海軍のダイバーズウォッチとして正式採用され、実際に活躍している点。当時の開発者でブランパンCEO、ダイビングガチ勢であった「ジャン=ジャック・フィスター」氏が残したFF開発までの様々な設計図や資料が現存する事、初期モデルからダイバーズに必須な基本的性能「逆回転防止回転ベゼル、耐磁性能、高い視認性(夜光塗料、黒文字盤)、高い防水性、自動巻き」を持っていることから、元祖ダイバーズとして名高い。
その後、フィフティファゾムスは、アメリカ軍を筆頭とした潜水部隊のダイバーズウォッチとして正式採用されてきた栄光の数々は非常に面白いエピソードとなっているので(アメリカ軍の要求は非常に厳しかったが、FFは軍に完璧であると認められたミルスペック等)、ブランパンレター(ブランパン公式サイトより注文可能)をみてほしい。
このような経緯から、ブランパンとしては元祖ダイバーとしての絶対的な自信や誇りを持っている。実際2023年には70周年として様々なモデルを展開している(サブマリーナは周年記念行っていない)。
ただし、フィフティファゾムスの本格復活は2007年であり、空白期間があり、製造本数も少ないので、サブマリーナのようにヴィンテージモデルを気軽に楽しむことはできない面はある。
5 ラインナップ
基本的にサブマリーナはデイトの有無や、ベゼルの色違い、貴金属や宝飾モデル(希少)のラインナップしか無いが、(一方サブマリーナは製造本数や期間が長いので中古とはいえ、装着感や見た目の違う過去モデルを選べるのはちゃんとしたバリエーションとも言える)フィフティファゾムスは、非常にラインナップが多い。
クロノグラフ搭載モデルや本格ダイバーでありながら複雑機構であるトゥールビョーン搭載モデルまである。超本格ダイバー向きの「Xファゾムス」は独自の複雑機構である水深表示は最大90メートルまで計測可能な他、15メートルまでの精密な水深計も併せ持つ。テックゴンベッサモデルは、最新の呼吸器具であるリブリーザー(吐いた息を閉回路で二酸化炭素を取り除きつつ再循環させる)を用いた長時間潜水を想定した3時間で一周する「潜水時間針」と対応した回転ベゼルを持ち、視認性に対する配慮もオリジナルよりもなされている。このように実際にプロが使用する、機械式ダイビングウォッチや特注レベルのモデルが通常ラインナップにある(ごく少量生産だが)。もちろん数量限定モデルも展開されている。
また、サイズも45ミリモデルと42ミリサイズがあり、貴金属モデルもある。驚くべきはその全てがプロ仕様ダイバーということ、金も傷つきやすいのだが潜水での使用に全く問題はないのだ。
プロに愛され、本格仕様のラインナップ(ピンポイントすぎる感じはあるが)が多いのは他のダイバーズウォッチにはない大きな特徴と言える。
6 まとめ
まとめると、サブマリーナは非常に硬派な黒文字盤で、針やインデックスにWGを使用して高級感がある、インデックスの形等、視認性を確保する工夫はされているが、シティユース寄りの41ミリケースサイズであり、デイトディスクは白、サイクロップスレンズとダイバーズとしての視認性は捨てている面がある(ノンデイトの方がダイバーズとしては優秀)。本格派ダイバーというよりは本物志向のデイリーダイバーズ(万能ダイバー)である。普段使い(仕事もプライベートも)したい高級ダイバーウォッチとしては実用性や満足度の高さで右に出るものはいないとすら感じる。
一方フィフティファゾムスは、プロ仕様の本格ダイバーでありながら、その枠をはみ出る事なくラグジュアリーな工夫や、工業製品を超えたムーブメントの仕上げをおこなっている。冒頭のも述べた「本格派ラグジュアリーダイバー」であると言えるのだ。
つまり全く違う属性を持ちながら、明らかに高級機としての作りや、ダイバーズウォッチファンとして、リスペクトできる歴史的背景を持っており、サブマリーナを持っているユーザーの次の目標として相応しいと感じた。
ダイバーズの雲上ウォッチといえば ロイヤルオーク オフショア ダイバー ではないのか?
雲上ブランド(パテック・ヴァシュロン・AP・ブレゲ・ランゲ)が作るダイバーズウォッチは実は「ロイヤルオークオフショア」シリーズくらいだ。
流石にブランパンのフィフティファゾムスでは、雲上のダイバーズウォッチには勝てないだろう と考える人は多いが、必ずしもそうではない。確かにブランドの格でいえば、オーデマピゲには敵わないし、定価も倍近い(24年9月 440万円)。そしてロイヤルオークの派生ラインだけあって圧倒的に人気だ。
しかしながら、先ほど述べたようにFFは「本格派ラグジュアリーダイバー」であると筆者は表現したが、ロイヤルオークオフショアは「ラグジュアリーダイバー」と表現するに相応しいと感じている。
オフショアダイバーは、本格派では無いと言いたいわけではない、ダイバーウォッチとしての規格はクリアしているだろうし、防水は300メートルある。実際にダイビングの際に愛用してきた方も沢山いるであろう。しかし、FFと比べてみると「本格派」ではない面が多い。
FFはダイバーズウォッチとして誕生した背景があり、元祖ダイバーズとして今もなお君臨している。それに対し、オフショアダイバーはダイバーズウォッチでありながら、ベースはあくまで「ロイヤルオークオフショアなのだ。ここで重要なのは、元祖であったり歴史があることではなく、デザインにある。
まずロイヤルオーク、ロイヤルオークオフショアにとって最もアイコニックな「八角形ベゼル」は神の領域であり、ここを回転ベゼルにすることはデザインの崩壊になってしまう。そうなれば採用されたのはインナー回転ベゼルであるが、それゆえに文字盤の面積を圧迫する、さらにベゼル操作は10時位置のリューズとなり、回転ベゼルほどのスムーズな操作はできないし、繊細なパーツを増やすことになる。針やインデックスも視認性に配慮され太くなってはいるが、やはりここもデザインを崩さないよう夜光塗料もガッツリ入っているわけではない。
このように、「ロイヤルオーク オフショア」であるがゆえに、ダイバーとしての本格性を犠牲にしている点は、FFと比較する場合には考慮に入れるべきだ。
しかしながら、ラグジュアリーな面ではやはりオーデマピゲは強い。先ほどの指摘を逆にいえば、完成されたデザインを崩さずにダイバーズウォッチとして本格的に使用できる手腕は素晴らしい。ロイヤルオークをダイバーズとして使用できる、ここまで贅沢なダイバーズウォッチは他にはない。
搭載される「cal.4308」のパワーリザーブは60時間であり、FFの120時間の半分(一般的にリューズ操作の少なくなるロングパワーリザーブがダイバーに向くが、扱いに慣れていればそこまで重要ではない)、ムーブメントの仕上げはやはりAP、バチバチに仕上げている。しかし先ほど述べたように「cal.1315」は雲上と戦える(特に面取り)。耐磁性については、クロノス編集長広田さんによれば、キャリバー4300系はニヴァクロンのヒゲゼンマイを使用しているので、期待できるとの事。しかしシリコンほどの耐磁性は望めない。
ここで少々雑に聞こえるかもしれないが、FFは「本格派ラグジュアリーダイバー」、ロイヤルオークオフショアは、雲上ブランドが作る「超ラグジュアリーダイバー」という事にしてみよう(超を付け加えてみた)。
どちらも間違いなく雲上ダイバーズウォッチなのだが、ダイバーズの終着点として検討する場合は、価値観は全く違ったものになる。つまりどちらもダイバーズの雲上としての風格があり、魅力的だ。
しかし、海豚はやはり総合的にはFFがダイバーズウォッチとして最も推せる。間違いなくだ。
FFだけではない 各ブランドのラグジュアリーなダイバーたち
ここではNo.1雲上ダイバーズはFFと結論つけたいが、人気抜群のサブマリーナを所有していたとしても、他に魅力的なダイバーズウォッチはまだまだある。おすすめを列挙していきたい。
1 グラスヒュッテオリジナル「Sea Q」(パノラマデイト)
名門「ランゲアンドゾーネ」と同じルーツを持つ「グラスヒュッテオリジナル」のダイバーズウォッチ「SeaQ」。非常にドイツらしい質実剛健さと上品な佇まいが両立する大人なモデルだ。
ボックス型の風防にガルバニック加工の美しい文字盤、ダイバーズらしい力強い時分針と大きなアラビア数字とバーインデックスの組み合わせがなんともレトロチック。ミドルケースは薄いため、装着した時に薄く見えるので無骨さをほとんど感じない稀有なダイバーズウォッチ。とは言っても世界で最も厳しいとされるドイツ工業規格と国際上行規格に準拠しているれっきとした本格ダイバーなのだ(30気圧防水、ケース径43.2ミリ、耐磁性ありと、スペック上でも完璧)。
パノラマデイトということで、2枚のデイトディスクを用いた日付表示機構がドイツらしい。ムーブメント(cal.36-13)も「3/4プレート」、「スワンネック緩急針」を採用するなど、ドイツらしさが詰まっている。しかし本ムーブメントはシリコンヒゲゼンマイ採用のフリースプラング採用なので、スワンネック緩急針はお飾りなのかもしれない。耐衝撃性に優れるフリースプラングの採用に、装飾として、美しいスワンネックとブリッジに調整用のメモリをエングレービングする工夫はある意味合理的で、ファンの心を掴むだろう。
ドイツ製のラグジュアリーなダイバーズウォッチが欲しければ、間違いなく筆頭に上がる本モデル。ガチダイバーというよりは、少しラグジュアリーでスーツでもバッチリ似合うダイバーズを求める方におすすめだ。
2 ジャガールクルト「ポラリス」
こちらは少々本格ダイバーズとしては外れてしまう部分はあるが、「ポラリス」もラグジュアリーダイバーとして大きな魅力がある。特に文字盤は、35層ものの重ね塗りされたラッカーが、奥行きがあって美しい。中央と外側で仕上げが違うために、視認性も抜群だ。
200メートル防水で、耐磁性の記載もないため、本格感はないがダイビングするには問題ないスペックである。機械はジャガールクルトであるから信頼性も高く仕上げも超一流だ。文字盤の美しさやデザイン、ハイエンドなジャガールクルトというブランドに憧れている人にとって間違いない選択になるだろう。
3 ロレックス シードゥエラー ディープシー(ディープシーチャレンジ)
正直オーバースペックなこちらは、ロレックスの技術の結晶。高スペックを持つ一方で、シードゥエラーでは変わらずサイクロップスレンズを採用しており、ダイバーとしてのガチ感はないが、防水性において絶対的な安心感がある。ディープシーは文字盤のコントラストが美しく、ここに惹かれるユーザーも多いだろう。ダイバーズとしての追求というよりはロマンを追求したダイバーズといったところか。
ディープシーチャレンジについては、厚みが尋常ではないので(23ミリ)日常使いは難しいが、チタンのおかげで250gと見た目ほどの重さは無い(だが、ディープシーでも214gほど)。これはロマン全振りだろう・・・流石に・・・。
しかしながら、オーバースペックと紹介したシードゥエラー(通常サブマリーナ含め)にチタンモデルが出れば化ける可能性はある。マニアのロマンダイバーズから隙のない超ハイスペックダイバー+日常使いも想定するなら、重さへの配慮が必要になってくると筆者は考える。
4 オメガ シーマスター プラネットオーシャン
こちらも非常に高い防水性を誇るが、素材はチタンやセラミック、そして貴金属モデルやクロノグラフやGMT搭載モデル、豊富なカラー展開があり非常に選択肢の幅が広い。現行はマスタークロノメーター取得モデルしかないので、特に耐磁性において信頼性が抜群にある。
チタンモデルは、ダイバーとしての本格度ははっきり言ってFFよりも高い部分もあるし、値段も優しいので海豚はおすすめだ。ロマン枠として、「ウルトラディープ」や特徴的な見た目の「プロプロフ」を選べるのも楽しい。
機械式腕時計に最強の実用性を求めるならオメガを選んで間違いなし。
5 フィフティファゾムスバチスカーフ
フィフティファゾムスがガチダイバーとすれば、バチスカーフはシティーユースを考慮した現代的なダイバーズウォッチだ。
見た目はダイバーズの割にスタイリッシュで、トリプルカレンダー等、複雑機構を搭載しているモデルもあり、FFというよりはブランパンのドレスウォッチである『ヴィルレ』っぽさから、「潜れるヴィルレ」「ダイバーズドレス」と表現する人もいる。
3針グレード5チタンモデルでは、FFと同じ「cal.1315」を搭載し、防水性は300メートルを確保しているのにオリジナルより値段は約90万円も安い。素材もグレード23チタンやセラミックなどバリエーションも多い。きちんとフィフティファゾムスでありながら大きさも小さく、機械も同じ、ダイバーには見えない綺麗な見た目と、オリジナルモデルに匹敵する質感と、それを上回る使いやすさが魅力だ。
6 パネライ サブマーシブル・ラジオミール・ルミノール
フィフティファゾムスはフランス海軍のために生まれた時計だが、パネライはイタリア海軍のために生まれた時計。1940年代にはイタリア海軍にダイバーズウォッチとして納品されていた歴史があり、こちらの方が歴史が深かったりする。
では、なぜ元祖ダイバーはパネライ(ラジオミール)と言われないのは、やはり今のダイバーズウォッチの規格である回転部ベゼル(逆回転防止)が無いなど、ダイバーズウォッチとしての完成度がFFの方が高かったことと、イタリア海軍の超機密兵器だったこともあり、1992年に一般時計市場に参入するまで、その存在が世間に知られていなかったからであろう。
とはいえ、パネライはFFが誕生する前にダイバーとして活躍していた歴史は間違いなく、それは非常に価値のある事実だ。パネライの元祖ダイバーである「ラジオミール」はリューズガードはないし「ルミノール」はラジオミール同様、回転部ベゼルがないのでガチダイバーという訳では無いので、選択肢に上がるのは「サブマーシブル」となりそうだが、どれもダイバーズとして使用するロマンは大きい。独自の進化を遂げた唯一無二のデザイン、惚れ込んでしまうと抜け出せない魅力がある。
パネライ欲はパネライでしか満たせない。
フィフティファゾムスは42ミリと45ミリどちらが良いか
着用性を基準にすれば良い ここを押さえれば間違いないだろう
基本的に比較して安い45ミリを選ぶのが無難ではあるが、試着してみて大きさが気になる人も多いので、42ミリサイズが合う人も多いだろう。相違点を比較してみよう
大きさ⇨45ミリでもラグtoラグはそこまで長く無いので(大きさの割に着用感に定評のある、パネライ ルミノールより短い)、細腕でもある程度適応できるが、大きさゆえに避けてきた人は多い。42ミリはケースも薄くなる(14.3ミリ)ので着用感は相当変わるだろう。
見た目⇨42ミリは、たった3ミリ小さくなっただけだが、比べるとかなりコンパクト。文字盤はサンレイのみ(45はサンレイと筋目仕上げ)である。ケースはグレード23(45ミリはグレード5)とグレードアップしている。キャリバーは同じだが、自動巻きローターは歴史的なデザインを踏襲しつつ、縁取りにゴールドが残されているのでゴージャスだ。
42ミリは45ミリより豪華な仕様になっているが価格は上がるので、冒頭の通りやはり着用感で選ぶのが良いと思われる。だが、初代フィフティファゾムスは41ミリであるので、42ミリはヴィンテージスタイルが好きな人のは間違いない。
総論
非常に優れた高級ダイバーズウォッチがある中で、「フィフティファゾムス」が一際目立つ歴史や、完成度の高さがある「雲上ダイバーズ」である事が読者に伝わってくれれば非常に嬉しい。
もちろんダイバーズウォッチ好きが絶対目指すべき時計では無いし、ヒエラルキーで絶対上というものと決めつけたい訳ではない。ただ元祖ダイバーズウォッチとして誇りを持って、ブランパンがバチバチに仕上げてきた半端ないダイバーズウォッチがあり、サラリーマンでも頑張ればなんとか手に入る時計があると知って欲しかったのだ。
プレ値で「サブマリーナ」を急いで買う必要は無い。マラソンしながらでも、いろんなダイバーズに触れてほしい。
本ブログを通じて、「フィフティファゾムス」や、他の素敵なダイバーズに目を向けてもらえたらこれ以上嬉しいことはない。
以上となります。ご覧いただきありがとうございました✨。
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