一生物の時計は 「アルパインイーグル」で決まり。 

ショパール

 こんにちは海豚です。

 今回はショパールの「アルパインイーグル」を1年半保有して気がついた素晴らしさや、皆様の疑問に応えていきたいです。ショパールの歴史等も含めた私の「アルパインイーグル」関連の記事の集大成になると思います。本記事を切っ掛けに、視聴者の方が「アルパインイーグル」を一生物の時計として迎えられると嬉しいです。

※ 基本的に「アルパインイーグル ラージ」についての記事になります。

※ 本サイトはアルパインイーグル公式サイトの画像を一部使用しています

アルパインイーグル ラージ グレー 筆者が所有するアルパインイーグルだ

アルパインイーグルは何故 一生物に相応しいのか

 「アルパインイーグル」は素晴らしい時計です。素晴らしい時計はこの世に溢れています。だからこそ「一生物」となると、様々な角度から見て他の魅力的な時計より特別であると感じる必要があると思います。

 故に様々な視点から改めて「アルパインイーグル」の素晴らしさを紹介し、ご覧いただいている皆様が「一生物」に相応しい特別な時計と納得していただけると自信を持って紹介させていただきます。

アルパインイーグルトゥールビョーン(右)は、アルパインイーグルへのブランドの本気と未来を感じさせる傑作の一つ。

外装・デザインがとにかく素晴らしい

 腕時計を選ぶときはまずは外装・デザインが本人にとって好みである事は大前提です。よって、好みであれば、さらに一歩前進して、語れる外装・デザイン である事が、一生物、つまり長く愛用できる秘訣なのではないかと思います。

 では「アルパインイーグル」のデザインにはどういった語れポイントがあるのか

① 唯一無二の文字盤「イーグルアイリス」がとにかく特別で美しい

 一生物であるからには特別感は必要不可欠

 アルパインイーグルの文字盤は「イーグルアイリス」とブランドが名付けている。その名の通り、鷲の目の虹彩をイメージしてデザインされたもの。

 イーグルアイリスはガルバニック加工(電解メッキ)により表現されており、独創的な仕上がりとなっている。実物は程よい立体感が高級感を演出している。類似する文字盤はどこを見渡してもない、文字盤だけ大きなアイデンティティを獲得している、まさに特別なものだ。

 この立体感は複雑な光の反射を生み、日光下や照明下、暗い室内、曇り空、それぞれ違う表情を見せてくれるのだ。

曇り空の下、美しいグレーにイーグルアイリスの立体感が際立つ

 アルパインイーグル ラージサイズ(41mm)は日本人には、少し大きめのケースとなるが、ベゼルが大きいため、文字盤の大きさは実際には控えめである。文字盤が大きすぎない事によって、上品さもプラスされ、且つ飽きが来ない。

 また、秒針は鷲の羽をイメージしたデザインとなっていて、特徴的だ。これは、外しすぎている感じはなく、よく見れば分かる程度で語れるポイントとなっている。イーグルアイリス文字盤と合わせてようやく「イーグル」を感じさせるちょうど良さがある。

夕陽の下のアルパインイーグル 暖色系の光を浴びると非常に落ち着いた雰囲気だ

 時分針は夜光塗料「スーパールミノバ」が塗布されており、夜間視認性が確保されている。しかしながら、控え目に塗布されているので、スポーティー感を残しつつエレガント感が強い。針にはちゃんと立体感がありつつも、針間や針と文字盤のクリアランスが狭く、これも精巧さから来るエレガントを感じる要素となっている(スポーツウォッチは衝撃による接触を避けるためクリアランスを大きく取るのが一般的)。針の立体感は視認性も向上するが何よりも質感の高さを感じる。誰もが知る有名な高級時計メーカーであっても針がペラペラな事もあるのだ。

 他にエレガントを感じる要素といえば、12時、3時、6時、9時位置のインデックスがローマ数字となっていることだ。こちらもバーインデックス同様、中央部に夜行塗料が塗布されているが、昼間は磨き上げられた金属部が綺麗に光を反射しスポーティエレガンスをうまく表現している。

アルパインイーグルはまるで風防が無いと錯覚するほどに無反射コーティングのクオリティが高い。針と風防のクリアランスの小ささから、針に触れられそうだ。

② ケース・ブレスの高級感は他のラグスポの追従を許さない。

 アルパインイーグルの本体はケースとブレスなのかもしれない。

ステンドグラス越しの虹色の光を綺麗に反射する。

 アルパインイーグルの外装、つまりケースとブレスは本当に素晴らしい。ケースはラグジュアリースポーツウォッチの特徴であるラグ一体型、丸いベゼルに8本のビス留めと一見スタンダードに感じるのだが、実物を見るとその立体感に感動する。

 ベゼルは縦方向のサテン(筋目)仕上げとなっており、質感も高い。画像検索だと良くも悪くも、このベゼルが目立ち、立体感の無い丸い時計に見えてしまうのだが、実際はベゼルの外周が歪の全くない綺麗なポリッシュ(鏡面)仕上げになっており、立体感を演出している。

 ベゼルのビスもお飾りではない。実際にケースを挟み込む役割を担っているのに、ビスの駆動部(マイナス部分)の向きが統一されている。細かい事だが、こういった面から、高い工作精度と組み立て精度を伺う事ができる。

横置きした際にアルパインイーグルの造形の複雑さを堪能できる

 右ケースサイドにはポリッシュ仕上げの竜頭ガード、反対側は同形状の「耳」がついており、複雑な形状となっている。アルパインイーグルは横から眺めると、複雑な彫刻のような造形美や美しい仕上げを楽しむ事ができる。リューズに刻まれた立体的なコンパスマークも歪みがなく拘りを感じる。

 ケースの厚みは「9.7mm」と流石の薄さだ。もちろん防水性は10気圧あり実用性が高い。

 ブレスはテーパーが施されているため、エレガントな雰囲気が漂う。コマの中央部はアルプスの山を想起させるポリッシュ仕上げの立体的なキャップを冠したインゴットシェイプリンクで構成されている。このポリッシュ仕上げが凄まじく、まるで濡れているような輝きを放つ。コマの両サイドはサテン仕上げで中央部を強調している、また外側をポリッシュ仕上げにしているため、ベゼルの手法を思わせる立体感を演出している。ケース同様、アルパインイーグルのポリッシュは全く歪がなく綺麗だが、サテン仕上げも非常に浅く丁寧に筋目仕上げが施されており、輝きがあって綺麗だ。

 おそらくアルパインイーグルのブレスレットは数多の傑作時計と肩を並べる、いや、上をいくデザイン・仕上げとなっていると自信を持って言える。ショパールの超一流の時計製造技術に加えて、ジュエラーとしてのラグジュアリーな魅せ方が上手さを感じるデザインだ。特に顕著なのがバックルが外側から見えなくなっている点。バックルの押しボタンが見えない構造なので、アルパインイーグルのブレスレットは一周、流線形で繋ぎ目がない、まるでブレスレットのようにエレガントだ。

 ケースとブレスレットを語る上で外せないのは新素材「ルーセントスチールA225」が使用されている事だ。こちらは後ほど詳しく説明するが、見た目の点を話すと一般的なステンレスよりも白く輝く。もちろんホワイトゴールドと横並びに比較すると白さは劣るものの、単体で見れば、ホワイトゴールドと錯覚する程に白くエレガントなのだ。

まるで貴金属のブレスレットを思わせる輝きと一体感はアルパインイーグルにしか出せない

新素材 ルーセントスチールA223が素晴らしい

 自社で素材から開発できるメゾンは少ない。中でも「ルーセントスチールA223」の実用性や審美性は一線を画す。

 「ルーセントスチールA223」(以下ルーセントスチールと略す)は、ショパールが4年に及ぶ研究の結果開発された新素材であり、従来使用していたステンレスと比較し、以下の実用性の向上が得られたという。

鏡面部は明らかに通常のステンレスにはない色味と輝きを感じる

一 50パーセント増の硬度:美しく僻みのないポリッシュ面が多いアルパインイーグルにとって硬度の向上は実用性だけでなく、審美性の維持にも役立っている。使用傷が目立つポリッシュ面も、少し離して見れば大して気にならない、余程大きくぶつけない限り傷は極めて浅いからであろう。日々使用する中でポリッシュ面はラグジュアリーを演出してくれるが、やはり弱点は小傷が目立つこと、それを高いレベルで改善できるのは満足度へ大きく繋がる。また、硬度が高いということはそれほど加工が難しく、ポリッシングにも長い時間がかかるという事である。そのような中で前述した加工精度や美しさを表現できることは素晴らしい。

二 高い抗アレルギー性:金属アレルギーの方でも安全に着用できるかといえば個人差はあると思うし、リスクがあるが、明確にアレルギー持ちではない方でも長時間の腕時計の着用で、痒みが発生する人も多い(特に汗を多くかく方)。そのかぶれの原因はステンレスに含まれる、アレルギー反応を起こし易いクロム等の金属分が汗によって化学反応を起こし溶出する(イオン化傾向)からだと言われる。ルーセントスチールの高い抗アレルギー性は、アレルギー反応を起こしにくい金属をできる限り排除し、純度を高めつつも上記硬度を実現するため良い素材が使われているのだろう。もちろんこれは企業秘密なので筆者も簡単な予想しかできないのだが…。腕時計を長く着用するとかぶれやすい方には大きな安心感や貢献になるのではと思われる。

三 高い光反射性と光沢性:ルーセントスチールの最大の素晴らしさは公式も自負しているだけあって、この反射・光沢性であるだろう。先程「アルパインイーグル」のケースやブレスレットの美しさを紹介したが、仕上げの良さもあるのだが、この新素材の光沢・反射性あってのものだろうと思う。一般的なステンレススチールよりも光沢・反射性があるだけではなく、素材もかなり白っぽく貴金属の様なのだ。おそらくこれは上記抗アレルギー性と大きくつながると筆者は考えている。金属合金として不純物が少なく、良い素材が使用されていなければ実現できないだろう。

ルーセントスチールの環境への配慮が素晴らしい

 「ルーセントスチール」に対して2023年驚きの発表がなされた。それは「ルーセントスチール」は80%以上のリサイクルスチールから生産されており、2025年までにその比率を90%以上に引き上げるという。ショパールは業界で最も早く「エシカル ゴールド」(ゴールドの出自が100%明確で、健全な企業から買っている等)取り入れるなど、人権問題や環境問題に敏感で時代の潮流をうまく掴んでいる。そして現代におけるラグジュアリーへの理解が高いと感じるのだ。私見だが、今の時代極端な話、労働者を安くこき使う業者から安く「金」を買い、お金持ちに高く売るやり方は、倫理的な問題はもちろん、ラグジュアリーブランドへの冒涜となってしまうだろう。ショパールはそういった「サステナブル」、「公平性」などの問題に対して常に先をいき、リーダーシップを発揮している。

 今後、ショパールのステンレススチールモデルには、すべて「ルーセントスチール」が採用されるという。実際2023年の新作「ミッレミレア」、「L.U.C」のステンレスモデルにはルーセントスチールが採用された。ルーセントスチールは今やアルパインイーグルのアイデンティティーでは無いが、同素材の良さを最も引き出すのはアルパインイーグルで間違いない。

 環境への配慮といえばショパールは「アルパインイーグル財団」をアルパインイーグルリリースと同時に立ち上げており、同財団は、売上の一部を、かつてスイス レマン湖に多く生息していた「オジロワシ」の再導入や、アルプスの自然の保護活動に当てている。今後8年で80匹以上のオジロワシがレマン湖の畔に放たれる予定だという。

アルパインイーグル ラージ グリーン 裏側のシースルーケースバックにはアルパインイーグル財団のロゴが刻まれている。

ムーブメントが素晴らしい

 アルパインイーグルはマニファクチュールムーブメントである。この事実が持つ意味は大変大きい

 アルパインイーグルのムーブメント「01.01-C」はれっきとした自社製ムーブメントだ。アルパインイーグルのムーブメントはよく、「自社製ではない」等の間違った理解をしている人が多いのだがれっきとした自社製ムーブメントだ。

ベースとなるのはキャリバー「01.01-L」となっており、なんとあの「L.U.C」のムーブメントだ。

キャリバー「01.01-L」

 L.U.Cはショパールの創業者「ルイ-ユリス・ショパール」のイニシャルであり、1996年にショパールが開発した、完全マニファクチュールムーブメントだ。つまりL.U.Cはショパールのマニファクチュールムーブメントの代名詞であり、ショパールの技術力の象徴なのです。

 当然だが、L.U.Cムーブメントは今までL.U.Cのみに搭載されていた。他のメンズウォッチ(ミッレミレア等)は汎用ムーブメントベースであったので、おそらくアルパインイーグルでも汎用ムーブであろうと誤解されたのだろう。

 またL.U.Cムーブメントはそのほとんどが「マイクロローター式」の自動巻き機構や、手巻きムーブメントであったため、センターローター式ムーブメント=汎用ムーブメントと勘違いしやすいのであろう。しかしベースムーブメントのCal No.を比較確認すれば、LUCムーブが基礎であり、その派生のムーブメントであると納得する事ができる。また公式サイトにおいて、アルパインイーグルのムーブメントは自社製であり、「オート・オルロジュリーの工房で一貫して開発・製造・組み立てが行われている」旨の記載がある。これは汎用ムーブモデルに記載はない文言である。筆者もショパールに問い合わせた結果、キャリバー「01.01-L」がベースである旨の回答が得られている。

キャリバー「01.015-C」 キャリバー「01.01-L」と比べると分かりやすい

 何故ここまで自社ムーブであることを強調するのか、それは、一生物として所有する上での満足度が大きく向上すると筆者は考えているからだ。ショパールの時計を何十年と所有する上で、やはりショパールの繁栄を望むわけであるが、ショパールの繁栄とL.U.Cはもはや切っても切れない存在である事は間違いない、そして、アルパインイーグルの成長もL.U.Cと共に歩んでいくと思われる。実際2023年の「W&W(ウォッチズ&ワンダーズ 一年に一度開催される世界最大の時計の見本市)」において「L.U.C96.40-L(ジュネーブシール獲得)」を搭載したサーモンカラーダイヤルのモデルが誕生しているし、2022年は三大複雑機構の一つ、トゥールビョーン「L.U.C96.24-L(ジュネーブシール獲得)」を搭載したモデルも発表された。毎年アルパインイーグルのハイエンドモデルが発表される中で、やはりスタンダードモデルにL.U.Cの面影がないのであれば、所有者としてアルパインイーグルの発展に喜びを見出す事が難しくなる。これからのショパールの発展や栄光を望むユーザーにとって、アルパインイーグルのベースムーブメントがL.U.Cであることは大きな励みになると筆者は考えている。

L.U.Cのハイエンドモデル「フルストライク トゥールビヨン」所謂雲上ブランドに引けを取らない技術や審美性を兼ね備える。

 ムーブメントの性能はCOSC認定されているだけあり、個体差はあるだろうが、筆者のアルパインイーグル ラージの日差平均-3秒程だ、これは機械式腕時計の中ではかなり優秀な方だ。パワーリザーブは60時間で自動巻きの効率も肌感であるが高く、長持ちし、停止状態からのスタートも十分だ。

 仕上げに関してはSNSを覗いてみるとあまり評判は良くない、しかしながら低い評価をされている方はセットで汎用ムーブメントベースと勘違いされているパターンが多い。確かに派手さはなく、ベースとなっている「L.U.C 01.01-L」本家と比べるとネジや地板への面取り仕上げのこだわりは低めである。しかしそういった情報をシャットアウトしてフラットな目線で見れば、無骨でありながら、シャープなムーブメントの仕上げに大きな感動はなくても、アルパインイーグルの世界観との調和が取れていると感じるし、飽きが来にくい良作だと感じる。補足になるが、L.U.Cと比べて仕上げに差があるといっても、単体で見ればかなり仕上げは良いと感じる。地板は筋目仕上げとなっているため、コートドジュネーブ仕上げのような輝きはないが、よく見れば精緻なラインを楽しむ事ができるし、地板や歯車の配置も美しく、脱進機と合わせて動きも楽しめる。ローターは著名なラグジュアリースポーツとは違い、ゴールドではないためラグジュアリー感に欠ける点はあるが、優秀な素材であるタングステン製のローターの装飾は拘られているし、外周部は高さがあり、見応えがある。

スポーティエレガントを体現したムーブメントは仕上げに抜かりなし。目を凝らせば機構も楽しめる。 

 個人的な解釈では、アルパインイーグルのムーブメントはかなり通好みで、世界観や高級感を損なわずにコストダウンしている「上手さ」を感じるようにできていると思った。

 素材開発から高硬度ケースの磨きや複雑な造形を作り出しているため、やはり外装に一番お金をかけていると思われるが、ムーブメントも妥協せずにコストダウンし美しくまとめた。最初から L.U.Cを搭載し、高い値段で発売しても、ここまでの人気は得られなかったと筆者は思う。とはいえ自信がなければ見せないムーブメント、「カールフリードリッヒさん(現共同社長)」と「フリッツさん(社長の息子でアルパインイーグルの開発・発案者)」の「どうだ❕上手いだろ」という声が聞こえてきそうだ。

アルパインイーグルの誕生背景やショパールの歴史が素晴らしい

 アルパインイーグルの誕生背景を知っているだろうか。それは親子三代の情熱がリンクした素晴らしい物語。

左から「カール・フリッツ」さん、現会長「カール・ショイフレ」さん、現共同社長「カールフリードリッヒ・ショイフレ」さん

 アルパインイーグルが誕生したのは2019年、今も続く空前のラグスポブームの初期の段階で発表された、それ故に早い段階ではあるが、ラグスポブームに乗ったミーハーな時計と勘違いする方が多い。しかしその誕生背景を紐解くと、アルパインイーグルのルーツは1980年に発表された「サンモリッツ」である事が分かる。

 「サンモリッツ」はショパールの現社長である「カールフリードリッヒ・ショイフレ」さんがまだ従業員の頃、当時貴金属のみの時計を製造していたショパールにおいて、大きな情熱を持って、当時の社長であり、フリードリッヒさんの父である「カール・ショイフレ」さんを説得し、開発・リリースしたショパール初のスポーツウォッチであり、デビュー作。そして「サンモリッツ」はすぐにベストセラーとなった。「サンモリッツ」はショイフレさんの数々の栄光の一つであり、初の成功作品である一際特別な作品なのだ。

「サンモリッツ」はスイスの最も優雅なアルペンリゾート地の地名である。まさにスポーティエレガントな時計だ。

 アルパインイーグル誕生のきっかけは、サンモリッツの誕生から約35年も後のことだ。カールフリードリッヒ・ショイフレの息子さんである「カール・フリッツ」さんが父(ショイフレさん)のデスクの上に、置いている「サンモリッツ」を発見しそのデザインや付け心地に魅了されたのだ。そしてフリッツさんはこの「サンモリッツ」を現代に復活させたいと考えた。しかしショイフレさんはそれに反対。何故ならショイフレさんにとって「サンモリッツ」は特別であり、不変のメゾンであったからだ。しかしフリッツさんは諦めずに祖父であるカール・ショイフレさんと画策し、プロトタイプを作成した。それが今のアルパインイーグルの原型だ。

 息子に対し、「サンモリッツ」は俺の伝説で触れてはならない と一蹴したであろうショイフレさんであったが、アルパインイーグルのプロトタイプを見ると表情は一変、GOサインを出してくれたという。

 つまりアルパインイーグルは親子三代の情熱から生まれたといっても過言ではない。宝飾時計中心のメーカーで、反対されながらも、素晴らしいステンレスウォッチを開発したショイフレさんの情熱や先見の明、「サンモリッツ」を受け入れ、「アルパインイーグル」の開発を影ながら補助したカール・ショイフレさんの懐の深さ、カールフリッツさんの目利きや、父譲りのセンスの高さ、全てが合わさって完成した情熱の時計なのだ。

 時計を長く持つ上で、ブランドの歴史や将来性を感じられることは、非常に大切な事であると筆者は考える。

 ショパールは1860年「ルイ・ユリス・ショパール」がスイスにて創業し、若いながらも非常に高い精度と耐久性の高い懐中時計を作成し一躍有名に。その後ジュネーブから全世界へその名が広く知られるようになる。大きな功績の一つとして「スイス射撃祭」において、ロシアの皇帝に公式ウォッチを提供するほどの一流のメゾンとして成長していきました。

 しかし、1960年にはショパール家の後継者不在により、ドイツの有名ジュエラーであった、カール・ショイフレさんに事業を託す事になります。以降ショイフレさんとその妻カリンさんはショパールを飛躍的に発展させることになる。

 ショパールは経営一族が一度変わっていますが、家族経営を貫いています。現在もショパールは家族同士の絆や連帯感を大事にしており会社の理念でもあるという。一生物の時計を所有する上で、家族の絆は切って離せないもの、家族経営や絆や連帯感はご先祖様を大事にする気持ちにも通じるところがあると感じる、一生物から子孫へ受け継いでいきたい、家族の大事にしていく象徴として最適なブランドであると思うのだ。話は少しズレるが、経営一族がショイフレ家に代わり、数々の功績を残した現在においても「ショパール」というブランドは不変であり、マニファクチュールムーブメントに「L.U.C」と名付けるなど、創業者への敬意を忘れない点が、結婚等による家と家の繋がりを大切にする気持ちに通じるところがあると感じた。まさに世代を超えた一生物に相応しい時計だ。

アルパインイーグルの輝きはゴールドに匹敵する。しかしゴールドより硬く、軽い。

 ショパールの未来は明るいであろう。

 ショパールは160年以上家族経営を貫き、素晴らしい功績を残してきた。特にショイフレ家になってから数々の功績を残してきた。先ほど述べた通り、カール・ショイフレさんはショパールの事業拡大に大きく貢献した、その息子のカール・フリードリッヒ・ショイフレさんはデビュー作「サンモリッツ」、「ミッレミレア」等の大ヒット作に加え、機械式時計逆風の最中、「L.U.C」を開発し、完全マニファクチュールブランドへと進化した。共同社長のキャロライン・ショイフレさんも「ハッピーダイヤモンド」がメガヒットし、ショパールの代表作となった。

一般的にショパールウォッチはレディースのイメージが強いのは間違いなく「ハッピーダイヤモンド」の大成功のおかげ。2枚のサファイヤガラスの間をゴールドカップに乗ったダイヤが自由に動く様は大変美しく独創的。

 では、カール・フリッツさんはどうなのか。ご存じのとおり、デビュー作である「アルパインイーグル」が大ヒットであり、その素晴らしい才能は多くの業界人に認知された事であろう。将来、フリッツさんはショパールの経営を任せられることになっている。これからどんな新作時計やムーブメントが開発されるか大きく期待したいところだ。また、将来フリッツさんのお子さんがアルパインイーグルの後継機を開発してくれるのではないかと妄想に近い期待をしている。

アルパインイーグルの資産価値について

 どれだけ綺麗事を並べていても、価値が落ちゆく時計を一生物にするのは難しい。

 私の予想であるので、あくまで参考程度にして欲しいのだが、先に結論を出すと、「アルパインイーグル」の新品並行価格は少しづつ上がると思われる。また、価値が暴落することはほとんど無いと考えている。

 昨今のラグジュアリースポーツウォッチブームでアルパインイーグルのプレ値期待が大きかったが、実際はクロノ24において、プレ値になったのはほんの少しだけであり、期間も短かった。しかしながら、大きな値落ちはなかったといったところだろう。 

 おそらく、新品並行の価格が落ちにくいのは、アルパインイーグルを余分に作っていないからであろう。ショパールは生産ラインが最新鋭で優秀である事から、ほとんどオーダーメイドに近い形を取ることができるのでは無いかと筆者は思っている(とはいえ人の手で磨き上げる工程も多く時間はかかる)。アルパインイーグルは現在においても、ブティックで注文すると納品に1〜3ヶ月ほどかり、購入の際は、先払いとなる。そのため、キャンセル品もないし、何ヶ月も待てる本当のファンが買う可能性が高いのでは無いだろうか。

 これはプレ値誘導というわけでは無いと筆者は考える、前述したように、ショパールのステンレスモデルは将来、ルーセントスチールのみとなる。さらに将来的にリサイクル率を90%引き上げる必要があるため、大量生産が難しく、市場への供給を厳正に管理する必要があるのだと思われる。

太陽光下のアルパインイーグルのグレー文字盤は美しいシルバーのように輝く

 ショパールの値上げは毎年1回はあろう事から、明確な価値の暴落は無いし、並行新品価格であれば、穏やかな右肩上がりであろう。アルパインイーグルを一生持つのにはちょうど良い線を行っているのでは無いかと思われる。

 時計ブームは落ち着いてきたと肌で感じるが、ここまでのブームであるから、新たなファンが世界的に増えたであろう。世界人口も増えている、腕時計ブームが再来した時に必ず注目される時計だと筆者は思っているので、長い目で見れば間違いない時計であろう。

最後に

 今回の記事は私にとって「アルパインイーグル」に関する記事の集大成となりました。

 この記事をきっかけに、「アルパインイーグル所有者の方々はもっとアルパインイーグルを好きになってくれたら」、「アルパインイーグルを買おうか迷っている方の背中を少しでも押してあげられたら」、「アルパインイーグルに興味のある方が、購入時計の候補に入ってくれれば」大変嬉しく思います。
  

 今回のアルパインイーグルの記事の作成にあたり、Twitter(X)で「#私のアルパインイーグル」での投稿をしてくれた方に、本ブログにその投稿画像を添付しますと募集しました。今回は残念ながら1件のみでしたが、大事な1件です、ありがとうございます。

 T@KE 「青に惹かれて」さん ありがとうございます。所有者ならではの発見と素敵な投稿ですね❗️

 T@KE 「青に惹かれて」さんは私と同じくブロガーですのでご紹介させてください。過去に「アルパインイーグル ブルーとグレー どちらを選ぶか」という話題で共演したことがあります、是非そちらもご覧ください。

| 青に惹かれて。https://www.take87-bluelover.com

 また、過去にアルパインイーグルの実機レビューを上げていますのでよければご覧ください。

https://www.google.com/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=&ved=2ahUKEwjOkpHuoZuBAxU1gVYBHcHxA70QFnoECBEQAQ&url=https%3A%2F%2Fumibuta5638.com%2F%25E3%2582%25A2%25E3%2583%25AB%25E3%2583%2591%25E3%2582%25A4%25E3%2583%25B3%25E3%2582%25A4%25E3%2583%25BC%25E3%2582%25B0%25E3%2583%25AB%25E5%25AE%259F%25E6%25A9%259F%25E3%2583%25AC%25E3%2583%2593%25E3%2583%25A5%25E3%2583%25BC%2F345%2F&usg=AOvVaw1Q_XKUHL_0YiwnlSapNmOH&opi=89978449

 最後までご覧いただきありがとうございます。引き続きよろしくお願いします。

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